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系統安定化のための需要家側機器制御

概要

風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギー電源は出力が天候に依存するため、大量導入時には出力変動への対策が必要です。馬場研究室では様々な需要家側機器を利用して、再生可能エネルギー電源が大量導入された電力系統の安定化を低コストで実現する手法を研究しています。

離島系統・小規模系統における周波数安定化

ヒートポンプ給湯機

ヒートポンプ給湯機とは断熱膨張・圧縮を繰り返すことで外気の熱を移動し、温水を生成する機器です。貯湯槽を有している場合には温水生成時 間と消費時間をずらすことが可能であり、電力需要をシフトすることが可能となります。また、貯湯槽によるエネルギー貯蔵は安価に大容量のものを実現可能で す。当研究室が参加している実証試験で使用している機器は、起動・停止によって消費電力制御を行うため、長周期変動対策への適用を検討しています。また、 消費電力を細かく調整可能な改造ヒートポンプ給湯機を有しており、有効利用法についても検討しています。

チラー冷凍機

チラー冷凍機とはヒートポンプと同様に断熱膨張・圧縮を繰り返すことで外気の熱を移動し、氷を生成する機器です。相転移を伴うため貯湯槽よ り小さな容積で大きなエネルギー貯蔵容量が得られる可能性があります。実証試験で使用している機器は、連続的に消費電力を制御可能なため、短周期変動対策 への適用を検討しています。

ファームポンド

ファームポンドとは農地などに設ける小規模な貯水施設です。標高の低い水源からポンプを用いて標高の高い貯水池に水を貯え、高低差を利用し て灌漑に利用するシステムです。本来は農地の灌漑にのみ用いられますが、農業者の使用要求などの制約を満たしつつ、再生可能エネルギーの余剰電力で低地の 水を引き上げることなどにより、電力系統の安定化に資する検討しています。

負荷機器を用いた電圧制御

これまで電圧制御に寄与していなかった負荷機器に電圧制御機能を追加し、低コストで電圧上昇対策が可能か検討しています。ソフトウェアの変更のみで実現可能な方法を提案し、シミュレーションでの検討に加え、実際に機器を製作し、実験を行うことで機能の実証をしています。



系統側対策

概要

再生可能エネルギー大量導入の際、需要家側機器を利用した対策のみならず、系統側の対策も検討する必要があります。

配電系統対策

従来の電力の流れは発電側から需要家側へ向かう方向のみでしたが、多くの需要家が太陽光発電を導入した場合、需要家側の発電電力が消費電力を 上回り、従来とは逆の方向へ電力が流れる逆潮流が発生する可能性があります。その結果、需要家側の電圧が上昇することにより適正範囲を超え、使用している 機器に悪影響を及ぼす恐れがあります。その解決策として送電線の太線化、幹線の昇圧、無効電力補償装置の導入などについて、経済性も考慮した検討を行って います。

洋上風力集電・送電システム最適化

洋上風力発電システムは陸地から遠く離れた海上に設置されることが考えられます。そのためウィンドファームで集電した電力を陸上まで送電する 場合には直流送電が利用されることが多くなっています。この集電・送電システムのコストを低減させるためルートや揚陸点の最適化手法の確立が求められてい ます。そこで送電ルートの地理的コストを考慮した直流多端子送電システムの最適化手法の検討をしております。

系統連系された電力変換器

分散型電源などの普及により、電力系統用電力変換器が増加しています。電力変換器は非線形な特性を有し、制御によって特性を様々に変化し得る ことから、非常に便利な機器です。しかし、中には能動的に動作する機器もあり、系統運用への影響が懸念されています。例えば、系統事故時に分散型電源による 発電を停止するための「能動的単独運転検出機能」を備えた電力変換器が大量連系された場合、平常運用時に系統へどのような影響を及ぼすかについて検証しています。



通信を用いた制御

通信遅延・通信損失を考慮した制御設計

系統側から多数の需要家側機器に消費電力変更指令を遠隔から通信を介して送信することが検討されています。 指令を送る際の指令値の配分方法や通信遅延・通信損失が系統の制御にどう影響を与えるのか、その保障方法について検討を行っています。